Category : EPUB, KDP, 電子書籍

二冊目の電子書籍写真集の出版と固定レイアウトについて

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秋葉原スナップ 2012 -Back to the '90S-

秋葉原スナップ 2012 -Back to the '90S-

二冊目の電子書籍写真集、秋葉原スナップ 2012 -Back to the '90S-KDP から出版されました。

今回も、EPUB3 を手書きして KDP 側で変換というフローでした。
前作は全ての写真を縦向きで用意していたのですが、今回は横向き写真の場合は二枚で一ページとしてみました(構成の都合による例外あり)。

多くのスマートデバイスは縦持ちがデフォルトなので、横向きの写真を一ページ一枚で配置すると、余白が大きくなりすぎてしまう。よって、横向き写真を縦に二枚並べることで対応する。

iPhone 版 Kindle のスクリーンショット。縦画面だと、横向きの画像は二枚並びます。

レイアウトはもう少し凝りたいと思っていて、KF8 が対応しているらしい固定レイアウトを使いたいと思っているのですが、試してみても上手くいきませんでした。 viewport の指定や rendition:spread が使えると、かなり捗りそうなんだけどなあ。
画像のレイアウトに関しては、今後も色々試してみます。

縦書き EPUB のテストに iBooks を使ってはいけない

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追記です。以下のような指摘を貰いました。

@hamashun 自分の場合、iBooksはぜんぜん問題なかったよ。あれ、たまたまだったのかな。

Twitter / sasakill: @hamashun 自分の場合、iBooksはぜんぜ ...

指摘を頂いた方の環境は、iOS6 の iPad とのことでした。一方、問題が起きた僕の環境は、iOS5.1.1 の iPhone です(iBooks のバージョンは 3.0.2 でした)。

OS のバージョンが関わってそうだということで、もう少し調べてみたら、

iOS6上で縦書きのページネーションが可能となる

新しくなったEPUBリーダのテキスト表示を比較してみると・・・ | 電子書籍、電子出版のCAS-UBブログ

とのことでした。

結論を言うと、縦書き EPUB のテストに iOS5 の iBooks を使ってはいけないということでした。

EPUB を触りはじめた時に、とりあえず何か書いてみようと思って、せっかくなので縦書きを試してみたんです。

Chrome の拡張機能であるReadiumでは縦書きになったんですが、iPhone の iBooks で見てみたら、なんか表示がおかしい。一ページ目だけ表示されて、あとは overflow: hidden; のような見た目になっていました。

調べてみた結果、iBooks は、縦書きを完全には対応していないということでした(に確認)。

iBooksでは縦書きにすると1ページ目しか表示されなくなります。これはひどいですね。ろくな表示ができないなら黙って横書きにしてくれればいいんですが、「読めない」という最低のユーザービリティでの表示になります。

ePub作成覚え書き(nav要素とか、kobo用縦書きとか) | 高橋文樹.com

iBooks に限らず、ソースコードは正しいはずなのに表示が想定通りにならない場合は、ビューワー側の対応状況を調べてみると良いかもしれません。

Kindle ダイレクト・パブリッシングで出版した本を更新する際の注意点

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KDP では、「本の更新」と「既に購入した読者への通知(更新した本の配信)」を、別々に扱っています

本の更新

ストアに並んだ本の内容を更新をするには、KDP にログインして、最初にアップロードした時と同じ手順で作業を進めるだけです。申請後の待ち時間も、僕の場合は初回と同じくらいでした。
参考:「オンライン」のコンテンツを更新するにはどうすればよいですか? Amazon.co.jp:Kindle ダイレクト・パブリッシング:ヘルプ

更新した本の配信

その本を既に購入した読者に、更新した本の配信をするには、別途 KDP への申請が必要です。
お問い合わせから、本の出版 → 修正する と選択し、KDP に、本のタイトルまたは ASIN と変更箇所の詳細を伝える必要があります
参考:更新に関してお客様に通知 Amazon.co.jp:Kindle ダイレクト・パブリッシング:ヘルプ

気をつけたいのは、既に購入した読者へ通知するための申請は、そのレビューが行われるのは 4 週間以内ということです。本の出版が約 48 時間とされていることに比べると、かなり差があります。
KDP では、「とりあえず出版して、後から追加していこう」というようなやり方は、あまり適していないように思えます。

EPUB を手書きして KDP で写真集を出版した際のメモ

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Japanese nostalgic landscape

Japanese nostalgic landscape

Kindle ダイレクト・パブリッシング (KDP)で、写真集を出版しました。その際に分かった事をメモしておきます。写真集はわりとシンプルな内容で、凝ったことはまだ試してないです。

本記事の概要:EPUB → MOBI → KDP

作業の流れは次のようなものです。

  1. EPUB 形式のファイルを作成する
  2. それを MOBI 形式のファイルに変換する
  3. KDP で出版する

ポイントは、作成するのは EPUB だけど最終的に出版されるのは MOBI であるという事です。つまり、EPUB でできる事イコール MOBI でできること、ではありません。また、見た目の問題を解決するために、あえて EPUB の仕様違反が必要になる事もあります。
EPUB は MOBI を作成するためのベースである事を、あらかじめ認識しておくと良さそうです。

そのため、本記事のスタンスは、EPUB 自体の解説と言うより、EPUB を使って KDP から出版するための解説というものとなっています。

EPUB のサンプルファイルを入手する

EPUB をさわった事が無い場合は、まずはサンプルファイルを入手すると良いでしょう。横浜工文社さんの日本語Epubブックサンプルとか良いと思います。

僕はEPUB 3 スタンダード・デザインガイドという本を購入しました。EPUB3 を XHTML5 と CSS で手書きするという、マークアッパー的にキュンキュンくるコンセプトの本です。
内容は、EPUB3 の仕様に関するセクションと EPUB3 で使える CSS や HTML のリファレンスのセクションがあり、どちらもとても詳しく解説されています。フルカラーなのもあって読みやすく、お勧めの良書です。パブーで、かなり多くのページを試し読みできるので、とりあえず読んでみると良いです。

EPUB 3 スタンダード・デザインガイド

EPUB 3 スタンダード・デザインガイド

サンプルファイルを参考に EPUB のファイルを作成する

拡張子が .epub なファイルは、拡張子を .zip にする(ファイル名を変更をする)と、普通に展開できます。

サンプルファイルを元に、作業を進めていきます。EPUB は大きく分けて、メタデータのファイルとコンテンツのファイルに分けられます。メタデータ側の詳細な解説は、前述の横浜工文社さんのページや、電子書籍ファイルePubについて -ePubを自分で作成する- « lab.naoki.sato.nameを参照したり、または適宜ググったり本を読んだりしてください。

コンテンツファイルは、body 要素の中にコンテンツを記述していきます。今回は写真集ということで、画像一枚を一ページと想定しています。

MOBI も EPUB と同じくリフロー(※1)するフォーマットです。EPUB の場合はリーディングシステム(閲覧環境)によっては、画像の途中でリフローっぽい(普通のリフローとはちょっと違う気がする…)挙動をする(ページの途中で画像が途切れ、次のページで続きが表示される)ケースが見られましたが(Chrome の Readium で確認)、MOBI(KDP から出版されたもの)を iPhone で確認したところ、その問題は発生しませんでした。独自要素の <mbp:pagebreak /> を使用すると強制改頁が行えるので、念のため記述しておいても良さそうです。

EPUB のリーディングシステムによっては、画像の途中でリフローのような現象が見られた

Chrome の EPUB リーディングシステム、Readium のスクリーンショット。
上端に見えているのが前のページの画像。画像の途中でページが送られてしまっている。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<!DOCTYPE html>
<html xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml" xml:lang="ja" lang="ja" xmlns:epub="http://www.idpf.org/2007/ops">
  <head>
    <title>Japanese nostalgic landscape</title>
    <link rel="stylesheet" href="css/stylesheet.css" type="text/css" />
  </head>
  <body class="photo">
    <p><img src="images/01.jpg" alt="" /></p><mbp:pagebreak />
    <p><img src="images/02.jpg" alt="" /></p><mbp:pagebreak />
    <p><img src="images/03.jpg" alt="" /></p><mbp:pagebreak />
    <p><img src="images/04.jpg" alt="" /></p><mbp:pagebreak />
    <p><img src="images/05.jpg" alt="" /></p><mbp:pagebreak />
  </body>
</html>
EPUB のコンテンツファイルの簡単なサンプル。
p 要素一つが一ページを想定している。

ファイルを ZIP で格納する

メタデータファイルとコンテンツファイルが完成したら、ZIP ファイルを作成します。この時に注意点があり、横浜工文社さんのページEpubファイルの作成という節で解説されています。

ただ、ひとつやっかいな条件があります。 mimetypeがZIPファイルの最初のファイルで、しかも圧縮されてないことが条件です。

対応方法も同ページに書いてあるので、お好みの方法を使用します。
僕の環境は Windows なので、Windows内蔵ZIPツールで解説されている方法を使いました。

作成した EPUB ファイルを確認する

作成した ZIP ファイルの拡張子を .epub に変更したら、EPUB ファイルの完成です。EPUB Check でバリデーションしておきましょう。

EPUB Check はコマンドライン(黒い画面)で使うツールなので、若干の慣れが必要です。不慣れな場合は、ダウンロードページから DL したら、作成した EPUB ファイルと同じディレクトリに置いておくと良いでしょう。
また、実行には JAVA のランタイムが必要です。

EPUB Check の詳しい解説は、制作基本チュートリアルEPUB Check 整合性確認ツール - epubcafezip解凍したepubファイルの再パッケージング - The Door into Summerを参照してください。
あと、こんなのもありました(まだ試してないです)。epubcheckを起動させ、ログをテキストファイルに出力するbatファイル | IMAGEDRIVE

ブラウザにアドオンを入れて閲覧してみるのも良いでしょう。Firefox ではEPUBReader。Chrome ではReadium。Opera はeBook ReaderとかいうのがあったけどOpera Widgets の開発は現在行われておりません。とか書いてあるし、閲覧環境よく分かりません><

KDP に EPUB ファイルをアップロード

EPUB ファイルに問題がなければ、KDP にアップロードします。初回は KDP アカウントの登録が必要です。キンドる速報のはじめてのKindle ダイレクト・パブリッシング(KDP)体験記という記事内の、KDPアカウントを登録する(約10分)という節でとても詳しく解説されています。

アカウントを登録したら、メニューの「本棚」から「新しいタイトルを追加」し、5. 本のアップロードから EPUB ファイルをアップロードします。
ファイルをアップロードすると、すぐにでも出版されてしまいそうで怖いですが、価格の設定などをしなければ、出版されることはありません。

本のコンテンツファイル というフォームがあるので、そこに作成した EPUB ファイルを指定すれば KDP にアップロードできる。

KDP の本棚ページのスクリーンショット。
ラジオボタンにチェックを入れないと、ファイルのアップロードができない。

アップロードが完了したら、プレビューツールとプレビューファイルをダウンロードして、レイアウトなどを確認します。
ここでの注意点は、プレビューツールはどうやら Kindle Paperwhite モード(モノクロ画面)でしか試せないようなのです。写真が全てモノクロになってしまいますが、実際のデータはもちろんカラーなので、そのまま進めてしまって大丈夫です。

「プレビューファイルをダウンロード」というリンクからプレビューファイルが、「プレビューツールのダウンロードWindows | Mac」というリンクからツールのダウンロードができる。

本棚ページのスクリーンショット。
「拡張プレビューツール」を使うと Kindle Fire などでもプレビューできるらしいが、それがどこにあるのか分からない><

出版手続きを完了する

プレビューが問題なかったら、価格設定などを行い、出版手続きを完了させます。米 Amazon による審査が行われるので、即時出版とはなりませんし、リジェクトされる場合もあります。
参考:Kindle ダイレクト・パブリシングをやってみて4回もリジェクトされた話 : アルカンタラの熱い夏
※上記記事の学んだことは必見です。

KDP で写真集を出版するにあたっての Tips

もっと色々溜まってきたら、別の記事でまとめるかもしれません。

  • 内容はアップデートできる
  • 縦向きデバイスで横向きの写真が一枚だけのページを見ると、余白が大きくなってしまう
  • 同様のケースでは、写真はページの上端に配置されてしまう(position や display: table-cell; や before: などによる中央配置は無視される)。ページ中央に配置する事もできるっぽいけど、今のところ方法が分からず
  • 同様のケースでは、横向きの写真を一ページに二枚配置すると丁度良い
  • 縦向きデバイスで縦向きの写真だと、一ページ一枚で丁度良い
  • 写真のサイズは、KDP が推奨する表紙のサイズが 2500px なので、それと揃えておくと安心っぽい
  • KDP が変換を受け付けるファイルサイズは最大 50MB なので、軽量化ツールなどでファイルサイズの調整が必要(写真集の場合は特に)
  • PDF で写真集を作ってからフリーの PDF → EPUB 変換ツールで変換したら、バリデーションでエラーが出まくり、KDP での変換時もエラーが出た(有料ソフトでは問題ないという話も)
  • 目次ファイルに ol 要素を使うと、Kindle だと list-type-style プロパティを指定してもリストマーカーが消えない。ol 要素ではなく p 要素を使うことで解決したけど、EPUB の仕様的には NG (KDP での変換に支障は無い)